児玉校長の教育エッセイ

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~新しい授業の創造~

 「生徒の心に届く授業」。それが私の理想である。10年たっても20年たっても印象に残る授業。そんな授業ができたらいいなあといつも願っている。ところが、最近、授業が生徒の心に届いていないのではないかと思う場面に出会うことがある。

 ある時思った。これは、ひょっとして講義形式というシステム自体の欠陥ではないか。そう思った瞬間、講義形式以外の授業が頭に浮かんだ。現在、3年生の進学コースの「現代社会」を担当しているが、今までの授業は教師が主役で、生徒は「観客」であった。これを逆転させてはどうか。つまり、生徒が主役で教師がわき役に回るのである。

 さっそく、新しいタイプの授業に挑戦することにした。まず、クラスの生徒を各4人の班に分ける。4人程度のグループが一番意見を出しやすいと思うからだ。全部で8つの班を作り、各班には名前をつけさせた。生徒の提案で野菜の名前で統一しようということになり、「なすび」「キャロット」「ワカメ」(これって野菜だったっけ?)などいろいろな名前の班ができた。「何でもいい」と答えた班があったので、そのまま「なんでもいい」(笑)という名前にした班もある。

 次にテーマ(データ)を与えて議論させた。いよいよここからが本当の授業だ。すぐに活発な議論を展開する班もあれば、そうでない班もある。議論しやすいように、考える際のポイントを示し、机間巡視をしながら質問に答える。このとき、生徒との1対1のコミュニケーションを大切にする。

 10分くらい議論させた後、各班の代表者に前に出てきてもらい、みんなの前で議論の内容を発表させた。あらかじめ、発表の基本フォームを次のように板書しておいた。

 「これから***チームで話し合ったことを発表します。このデータから読み取れることは、第一に・・・・・、第二に・・・・・、第三に・・・・・、以上、3点を指摘できると思います。」

 さすがに発表は緊張するとみえ、みんなコチコチだ。発表の途中でプレゼンテーションの基本的なやり方を指導する。すると早速、

 「しゃべるのが早すぎてわからへん」「生徒の目を見てしゃべって」

 などと発表者に向かって注文が出る。もちろん、発表者も負けてはいない。

 「そこ、私語をやめなさい」

 などとやり返す場面もあり、見ていて実に微笑ましい。日頃から生徒の仲が良いことをうかがわせる光景だ。つくづくいい学校だと思う。だれ一人寝るものもなく、すごく活気のある授業となった。こちらが期待していた以上にうまくいった。最後に、生徒の議論をふまえたうえで私がポイントをまとめ、1時間の授業を終えた。

 授業終了後に聞いてみた生徒の感想も、総じて好評だった。生徒の心に届いた授業だと久しぶりに充実感を味わった。次のテーマは労働問題、その次が社会保障である。地味なテーマをどう料理するか。講義形式という縛りから解放されると、どんどんいろんなアイディアが湧いてくる。生徒の皆さん、楽しみに待っていて下さいね。

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