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卒業後の進路について

卒業後の進路について

 

1  何のために学ぶのか
  卒業後の進路を考える前に、高校生の今、何のために学んでいるのかを考えてみましょう。
  私たちは決して、「入試に合格するため」だけのために、日々努力しているのではありません。私たちは親鸞上人の御教えのもと、もっとずっと大いなるもののために、日々精進し、学んでいるのです。
  「大いなるもの」とは何でしょう。それは簡単に言葉に表すことのできるものではありません。「大いなるもの」とは何か、それを知るために私たちは学んでいるのだ、と言えるのかもしれません。

 

2  報恩感謝の心
  私たちは多くの人々に支えられて生きています。
  私たちが毎日使う「ノート」について考えてみましょう。ノートの原材料は木材です。ノートを作るために誰かが木を切ってくれたのです。切られた木は紙に加工され、裁断され綴じられてノートの体裁を整え、船やトラックに運ばれ、販売店にならべられます。
  その間、いったいどのくらいの数の人々が関わっているのでしょう。私たちが一冊のノートを手にするまでに、実に膨大な数の人々が働いてくれているのです。社会のさまざまな場所で働く人々がいなければ、私たちは一冊のノートすら手にすることはできないのです。
  「報恩感謝の心」とは、私たちが多くの人々に支えられて日々生きているのだということを、自覚することではないでしょうか。

 

3  世の役にたつために
  みなさんは、将来、社会に出て働くことになるはずです。世の中には、数え切れないほど多くの職業があります。金銭的報酬の多い職業もあればあまり多くない職業もあります。華やかに脚光を浴びる職業もあれば誰にも注目されない職業もあります。
  けれども、どんな職業に就こうとも、ノートが私たちの手元に届くまでにかかわった多くの人々のように、みなさんは必ず、人々の役にたつことになるのです。

 

4  再び「何のために学ぶのか」
  世の役に立つために学ぶ、と言ってしまうと、それはまだまだ「大いなるもの」とはほど遠いのですが、しかし、「何のために学ぶのか」の答えとして、少なくとも「入試に合格するため」とか「将来よい職業に就くため」などなどよりも、「大いなるもの」に近づけたのではないでしょうか。

 

5  とは言うものの
  入試に合格するためだけに学んでいるのではない、などと「ええかっこ」を言ってみても、入試に合格しなければ、卒業後が保障されないのですから、お話になりません。
  どんな職業でも世の役に立つことになる、などと言われても、興味を持ってがんばれる仕事もあれば、おもしろくないと思う仕事もあります。「好きこそものの上手なれ」とも言います。興味があって、世の役に立つことを実感できて、自分が納得している仕事なら、勉強して研究してどんどん技能が向上するだろうし、つらいことにもがんばれる・・・

 

6  進路を考える
  「自分の進路を考える」ことは、「この仕事なら私はがんばれる」と思える職業を考える、ということです。
  「この仕事をしてみよう」「この仕事がしたい」と考えることができたなら、その仕事ができるように、卒業後の進路を決めればいいことになります。「教師になりたい」と思ったら、「教師になれる大学に入学する」というように。
  そして、一般に言われるように、将来の目標がはっきりしている生徒は、日々の勉学にもやる気が出て集中でき、その結果成績が向上する・・・

 

7  再び「とは言うものの」
  みなさんの中には、まだ、「どんな仕事をするべきか」明確に固まっていない人も多いのではないでしょうか。そしてそれは、状況をよく考えてみれば当然のことなのです。
  まだ十代のみなさんは、世の中の職業をすべて知っているわけではありません。小学生が「花屋さんになりたい」というのは、身近に働いているお姉さんを「花屋さん」で知ったからです。みなさんが「この仕事をしてみたい」と考えるときも同様に、みなさんの知っている職業の範囲でしか考えることはできません。
  「どんな仕事をするべきか、まだわからない」人も、自分の知っている範囲に、したいと思う職業がない、ということです。だから先生に、「まず、したい職業を決めなさい」と言われても困ってしまう、ということは理解できます。

 

8  どうするのか
  我が東大谷高等学校の生徒のみなさんは、本当によく勉強しています。朝早くから、あるいは夕方遅くまで、いくつもの教室で、一生懸命に勉強している姿が見られます。「真剣に学ぶ」という姿勢こそ、百年間連綿と育まれてきた我が校の誇るべき伝統と言えるでしょう。
  そしてこの姿勢と、先に述べた「報恩感謝の心」があれば、どんな進路を選んでも、必ず成功するはずです。
  もしあなたに、あこがれの仕事や将来就きたい職業があって、そこまでの道がはっきりと見えているのなら、その希望を実現するために進学先や就職先を考え、入学試験があるのなら合格できるように力いっぱい頑張りましょう。
  もしあなたに、関心のある社会問題やおもしろそうだなと思える学問分野があるなら、それを調べてみましょう。将来の職業ははっきりわからなくても、どの学校なら進学したいか、どの学部なら興味を持って勉強できそうか、ということは見えてくるかもしれません。
  もしそんなものは何もなくて、「人に言う時にカッコいい大学に行きたい」というなら、たいへん結構です。おおいっきりカッコいい大学を目指して、先生がびっくりするくらい必死に勉強しましょう。中途半端はいけません。「カッコいい大学に行きたい」場合は、「このくらいでいいや」なんて思ったら後悔すること間違いなしです。

 

9  進学したら
  そして上級の学校に入学したなら、卒業するまで学ぶ中で、少し意識を持って、世の中のことを観察しましょう。どんな職業があるのか、人々はどんなふうに働いているのか、自分にできることは何なのか。
  高校のときに考えていた職業とは違ったものが見えてくるかもしれません。高校のときには見えなかったものが見えて、自分の目指すべき道がはっきりするかもしれません。世の中に出ることや働くということがどういうことか、わかるようになるかもしれません。
  大学や専門学校で学ぶということは、(たぶん)みなさんが考えているよりもずっと豊かなものです。みなさんの人格を磨き、みなさんの人生を実り多いものにすることです。これまた決して、「資格を取って有利に就職する」などというちっぽけなものではないのです。

 

10  最善を尽くそう
  ここまで読んできて、「どんな進路を選ぼうとも、大いなるもののために全力でがんばろう」と思っていただけたでしょうか。もしそう思っていただけたなら、もはや「進路なんてどこでも行けるところでいいや」とは思ってはいないはずです。
  これは矛盾のようにも思えますが、「がんばろう」と「どこでもいいや」は相容れない感情です。「全力でがんばりたい」と思うからこそ、その対象となる職業や学問を「真剣に考える」ようになるのです。
  そしてもし、あなたが自分の進路を真剣に考え、たとえ将来のことはわからなくても、進学したいと思う学校や学部を定めたなら、全力を尽くしましょう。
  現役生に残された時間は限られています。
  3年生は、自分のすべての時間を勉強に投入しましょう。特に学力試験を受けて合格を勝ち取ろうとする人は、毎日12時間以上勉強しましょう。
  1・2年生は、授業を大切にすることはもちろん、勉強だけでなく、文化や芸術に触れたり、政治経済に興味を持つなど、教養を深め知見を広げましょう。
  みなさんが的確に希望進路を定め、自己の努力によってそれを実現し、卒業の春が幸せな人生の第一歩となることを願っています。

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