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平成21年10月7日    「講堂朝礼での校長講話」より

 東京帝国ホテルに小池幸子さんと言う方がおられます。この方は帝国ホテルで50年間客室係りとして、延べ7万人以上の接遇を担当され、平成元年には女性管理職第1号として本館第1支配人に抜擢され、67歳の今も現役でお客様接待係りをされています。
 「帝国ホテルに入社するきっかけは、何でしたか?」と言う質問に、小池さんは「東京帝国ホテルは、全世界の超有名人が宿泊されるホテルで、私たちの憧れの的でした。私はそこのレストランで働きたいと思って入社したのですが、最初に配属されたのが客室課で、いきなりクレンザーと雑巾とヘチマを渡され、トイレ掃除を言いつけられました。素手でトイレの隅々まで徹底的に磨くのです。辛くてつらくて最初の3日間で根をあげ、辞表を出そうとしたところ、先輩に「石の上にも3年というが、君はたったの3日も持たないのか、トイレはホテルの顔なんだ。君のやっているトイレ掃除はホテルにとって一番大切な仕事だよ」と言われ、「よし、それなら頑張ろう!」という気になった、と述べておられます。
 その小池さんが、仕事の上で一番大切なものとして3つあげておられます。
 まず1つは「笑顔」です。どんな時も笑顔でお客様に接すること、従業員の笑顔こそがお客様を安心させ、気持ちよくさせる、と言われています。
 2つ目は、言葉遣い。ぞんざいや乱暴な言葉遣いはもってのほか、逆に馬鹿丁寧な言葉もお客様を不愉快にさせる。普段からそのような言葉遣いにならないよう細心の注意が大切だと。
 3つ目は思いやり、これはお客様の気持ちを察知し、さりげなく気を使うこと、気配りです。真に相手の立場に立ち、相手の心を思いやる気持ちを常に忘れずに仕事を続ければ察知力は身についていきます、と言っておられます。
 ただ、これらの3つのことは、一朝一夕には行かない、日々の仕事の中で意識的に訓練していかねばなりません、とも述べておられます。
「これまで永きにわたって仕事を続けてこられた原動力は何ですか?」と言う質問に、小池さんは「まず、お客様の喜びを自分の喜びに感じられるこの仕事が大好きなことが一番です。また、好きな仕事を続けさせて頂いている会社に心から感謝しています。だから毎日、会社と仲間と家族に御恩返しをしたいという気持ちで一生懸命仕事をさせていただいています。本当にありがたいことです。」と述べておられます。 笑顔をたやさず、言葉遣いに気をつけ、他者への思いやりの心を大切にという小池さんの3つの心得は、東大谷高校で常に生徒の皆さんへ説き続けていることと同じです。さらに小池さんの「お客様の喜びを自分の喜びとし、会社や家族や同僚に恩返ししたい。」との気持ちは、本校の校訓でもある「報恩感謝の精神」ともピタリと一致するものです。

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